ワイヤー放電加工機

ワイヤー放電加工機とは、工作物と走行する極細のワイヤー電極との間の放電現象を利用して加工を行う工作機械です。ワイヤーは一般に黄銅製(真鍮製)で、太さ(直径)がφ0.05mmからφ0.3程度の極細のワイヤーが使われます。ワイヤーを電極とし、加工材料を加工液中(主に導電率を一定にした水)に浸漬して加工材料と電極間に放電現象を発生させ、加工材料を溶融除去して加工します。ワイヤー電極は電気を放電させるだけで工作物には接触しない非接触加工のため、原理的にはどんなに硬い材質でも導電性さえあれば(電気を通す性質の材料であれば)加工可能です。二次元形状の金型や微細加工・精密加工などに利用されています。

加工フロー

    • 1. 加工材料への穴あけ、ワイヤー放電加工機へのセッティング
      マシニングセンタと同様に加工材料の平坦度、平行度を確認し冶具で固定します。
      事前に加工材料にワイヤーを通すための穴を加工材料に影響を与えない位置に開けておいた加工材料をテーブルに冶具を使ってセッティングします。
      その穴にワイヤーを通し、中心出しを行います。
      予め組んであるプログラムに従って加工開始位置までワイヤーが移動します。
    • 2. 加工開始
プログラムに従って加工が自動開始され、テーブルもしくはワイヤーが移動して加工されます。
加工中は下図に示すようにワイヤーは加工材料と非接触で加工します。
    • 3. 加工終了
加工精度が求められる場合には、粗取り、中仕上げ、中仕上げ、最終仕上げの計4回ワイヤーで加工します。粗取りの段階では高い電流を流して加工し、オフセット量(仕上げ面までの残り量)を多くとります。粗取りの段階では加工面が平坦ではないので、中仕上げと最終仕上げでオフセット量を少なくしながら加工面を平坦にしていきます。中仕上げと最終仕上げでは電流を低くしながら加工していきます。粗取り、中仕上げでは加工開始点と終了点は少し離しておき、完全にくりぬかないように加工します。

ワイヤーカット放電加工機の特徴

加工材料は導電体であればどんなに硬くてもいい
加工材料は放電現象で加工されるので、加工材料の硬さに関係なく加工を行うことができます。
ワイヤーのみで様々な形状の加工が可能
マシニングセンタのように様々な工具を必要とせず、ワイヤーのみでプログラムに従った複雑・微細(ミクロンオーダーの)形状の加工が可能です。
工具・加工材の経済性
ワイヤーのみで加工を行うので、様々な工具を用いるマシニングセンタに比べて、使用する工具にコストがかからない。また切断幅が狭いため、加工材料を無駄なく使用することができます。